「遺品を撮る」

 石内都

メキシコを代表する女性画家、フリーダ・カーロの遺品を撮影した。フリーダは、大病や交通事故で満身創痍になりながら、ベッドで創作を続けた。彼女は「きつい女だ」と言われるけど、作品を見たら、すごく優しいのでびっくりした。

遺品を撮るうちに、一人の女がきちっと生きて死んだという事実に出会った。真っ赤なブーツは、ポリオで痩せ細った右脚のハンディを克服するために左右の高さが違っていた。華やかな衣装の下には、事故後の痛みに耐える為にコルセットを装着していた。彼女は、写真に撮られる時、いつも綺麗に正装し、指に10本指輪するとか過剰なくらいだった。それは、おまじないのように、自分の身を守る為の演出だった。髪をひっつめにし、逆三角形のシルエットに見えるドレスを着て、背丈を大きく見せていた。

いろいろ考えていたことが見えてきた。フリーダは自分が早く死ぬことが分かっていた。たくさん薬を遺していて、すごく辛かったんだろと伝わってきた。革命家のトロッキーらとのスキャンダルで男好きと言われたけれど、それはそれでいいと思った。

彼女は、未来を信じていた人だから、世界を知りたかったんだと思う。男は世界を持ってくる。そんなことも感じました。

アルコール、除菌、OEMの仲間の勉強塾より

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