『人工知能時代を生き抜く子どもの育て方』

神野元基

日本でインターネットが広がり始めたのは1993年ごろ。たったの24年前のことです。しかし、インターネットがここまで社会のあり方(働き方やコミュニケーションの仕方、余暇の過ごし方など)を変えるとは、ほとんどの人にとって想像もつきませんでした。
一方で、黎明期からインターネットに慣れ親しんでいた子どもたちは、いまITの分野で大活躍をしています。もし当時彼・彼女らの親が「自分にはよく分からないから」という理由でインターネットを禁止していたら、いま日本のIT企業は生まれていません。

子どもの可能性を広げるために、私たちに求められることはふたつです。ひとつは、最先端テクノロジーに対して寛容になること。もうひとつはそれがもたらす未来を予測するべく努力することです。では、現代における最先端テクノロジーとは何でしょうか。
それは人工知能であり、IOTであり、ドローンであり、VRであり、3Dプリンターです。

とりわけ、2012年から始まった人工知能の進化は、産業革命以来の大発明です。社会を劇的に変えることは間違いありません。その影響はインターネットの登場により、はるかに大きくなると予想されています。そして、すでに目に見える形で変化が起こり始めているのです。
たとえばGoogle翻訳。2016年の暮に入ってから、Google翻訳は人工知能が完全に翻訳を担うシステムへと改善されました。そして、精度が飛躍的に上がったのです。かなり複雑な文章でも意味が通じるように訳します。また、日本語の音声の読み上げもとてもスムーズです。
同時に、人工知能による音声認識の精度も上がっています。この2つを組み合わせることで、私たちは海外の人と母国語だけで対話ができるようになりました。
もちろん口語表現などまだ追いついていない所もあります。しかし近い将来人工知能により、多くの人にとって外国語を習得する必要が無くなる可能性は高いです。

人工知能がもたらす恩恵は翻訳だけにとどまりません。車の自動運転の実用化は時間の問題です。医療現場では人工知能が医師の代わりにガンを発見しています。投資の世界では有効なポートフォリオを人工知能が提案してくれます。生活とビジネスのあらゆる場面が人工知能というテクノロジーに対応できるかどうかで人生が変わるといういことです。

私たちはまさに今、人口知能時代に突入したのです。今の子どもたちが大人になるころには、次のような大きな変化が起きています。
1.小さいときから夢見てきた仕事がなくなる
2.学歴があるだけでは働き口が見つからない状況になる
3.指示を受けないと働けない人材は即刻クビになる
4.コンピューターが扱えないことは、読み書きができないことに等しくなる

アルコール、除菌、マスクの仲間の経営塾より