私は安楽死で逝きたい 

橋田寿賀子

さすが橋田さん、世界の安楽死の状況を調べ上げ、「外国人を受け入れてくれるのは、スイスにある『ディグニタス』という団体だけ」と記し、「スイスならいつでも逝けます」と威勢がいい。日本の社会保障政策を根本から揺るがすような提言も平気でのたまう。
「いま病院は認知症の人をいつまでも預かってくれません。悪い言い方をすれば、病院から追い出してしまう。追い出すくらいなら、希望する人は死なせてあげたらいいではないですか」そのためには「安楽死を認める法律を早く整備すべきだと思います」と提言する。
日本では、安楽死法どころか、その手前の尊厳死法ですら国会で議論できない。尊厳死法案は10年ほど棚ざらし状態である。

橋田さんがなぜこういう心境になったのか。死への姿勢がはっきりしているからだろう。「私の死のイメージは寝ているようなもの。眠ってしまえば何もかも忘れてしまうでしょう」と語る。
「眠り」に満足できるのは、「仕事はいっぱいやったから、もういいんです」という自信、ゆとりがあるからだろう。死を肯定的にみることができるのは、「生」を十分味わったからだと思う。生きていることへの充足感が、死を自身で決することにつながるようだ。

アルコール、除菌、マスクの仲間の勉強塾より