『これからを稼ごう: 仮想通貨と未来のお金の話』
堀江貴文
「お金というのは経済を回していくための道具に過ぎません」「今後、さらに紙幣や硬貨は電子マネー化し、どんどん便利に、同時に実体がなかなかつかめないものになっていくでしょう」「お金そのものも進化しているのです。だから、使う人間も知識で武装し、便利な道具として使いこなしていけばいいのです」これは僕が昔、著書『お金はいつも正しい』で述べた言葉だ。
この本が出たのは2011年。僕はすでに仮想通貨の基本的な解釈を、世に問うていたのだ。先見の明を自慢したいわけではない。お金の本質を正しく理解して、真っ当にビジネスをしていれば、自ずと確立できる普通の考え方だ。なのに当時から、正しく理解している人があまりにも少なかったのは、不思議でならなかった。
近年、仮想通貨ブームである。「億り人」なる、新興富裕層の出現や、人気タレントの参入などで、広く世間に知られるものとなった。それによって硬貨や紙幣の示す効力が、以前ほどの強さではなくなってきている(まだ最強には違いないが)。「お金とは単なる信用を数値化した道具であり、中央集権国家の管理下でなくとも、人々の知恵で使い方を創造できる」という、僕が訴え続けていた事実が、ようやく一般的なところまで理解されるようになってきた。それ自体は嬉しいと思う。しかし、仮想通貨を新たな儲け話としか認識していない人たちも、かなりいるようだ。
そう思いたければそれでもいいが、結局はまだみんなお金の不安から解放されていない。仮想通貨は、貯金や投資にとって代わる画期的な財テク術ではない。儲かる、儲からないの考え方で捉えていると、本質を見失う。仮想通貨は、僕たちの“これから”の未来を豊かな方向へデザインする、テクノロジーのひとつだ。このテクノロジーは自走式であり、進化と成熟の行く先は、まだ誰にもわからない。
従来型の貨幣については有用性のパターンは出尽くしたようだけど、仮想通貨に関しては未知数だ。仮想通貨の浸透は、お金の正体を社会全体へ問いかけている。さらなる一般化で、古い市場観が覆され、数え切れないほど多様な経済圏の出現が実現されるのではないか。そうなると、人々を管理する国にとっては困るかもしれないが、非常に面白い。僕たちは本当の意味で、お金の不安、ひいては何者かにマインドを縛られる生き方から、開放される転換点を迎えているのだ。勘違いしてほしくはないが、僕はお金が役割を終えると言いたいわけではない。
お金はお金で、みんなまだ使い続けるだろう。けれど、お金の役割とは何なのか?国家の仕切る経済圏は、終わりつつあるんではないか?という大きな問いかけが、テクノロジーを通して、世に投げかけられている。『社会は今、急速に「評価社会」に舵をきっている。お金にできない評価を多く集めた人が残っていく。お金より、信用稼ぎだ。仮想通貨の世界は、その思想と相性が非常に良い。誤解してはいけないが、信用は通貨にとって代わると言いたいわけではない。信用という大きな概念の一種のツールとして、通貨が使われている。逆に言うと、通貨はその程度のものだ。
とにかく、信用の概念をみんなで共有できれば、別に通貨に頼る必要がないよね?ということを、僕は伝えたい。今のところ仮想通貨やトークンエコノミーが、信用の共有の実践に便利だということだ』SNSは「信用」がとても重要視される。あの人が言ったから、あそこのお店に行ってみようとか、〇〇を買ってみよう、という消費行動を起こさせる。
反対に、信用のない人が、いくらSNSで発信しても、それはなんの影響力もない。誰が何を言ったのか、誰が何をしたのかが、問われるのだ。信用とは「ブランド」のこと。誰もが自分のブランドを高めていかなければ、生きていけない時代となった。それが魅力ある人。いつの時代も、新しいことを恐れず、それを取り込み、自分のモノにしていく人は魅力的な人だ。まさに、仮想通貨もその一つ。この世界が地球規模で変わろうとしている今…常に、新しいことを知り、行動を変えていきたい。
アルコール、除菌、マスクの仲間の勉強塾より