「成長の望めない社会」
平川克美
国民国家、デモクラシー、インターナショナリズムといった世界秩序の根幹が揺らいでいる。代わって、グローバル市場、強権的指導者による迅速な意思決定システム、排外的な競争主義としてのナショナリズムが新しい秩序になろうとしている。
旧来の価値観が揺らいでいる大きな原因は、先進国では経済成長が難しくなったという事だ。株式会社は、経済成長を前提としたシステムだ。成長するから、投資家は出資する。金利にしても、年金にしても、我々を取り巻くすべてのシステムが成長を前提に形作られている。
成長が止まってしまうと、システムの基盤が揺らいで行く。成長した方がいい。しない方が良いとは思っていない。ただ、もう難しくなっている。日本は、向こう50年は人口減少フェーズが続く。人口減少は、マーケットの減少に繋がる。今は、総需要は頭打ち。物価が下がってバランスが取れている定常化経済の段階にある。
政府の立場は、こうだ。デフレスパイラルに陥るのは良くない。高度成長は無理だが、緩やかな成長が国民生活の安定に繋がる。成長論者は希望を言っているだけ。成長すれば、全てがうまく回る。成長してくれたらいいなと。
現実を見れば分かる。日銀の物価上昇目標は、何時まで経っても実現しない。所得格差は、広がる一方です。定常化に即した経済運営がなされていない。
アルコール、除菌、マスクの仲間の勉強塾より