「トランプ現象」

 マイケル・サンデル

トランプが選ばれた理由。過去20~30年続いてきたグローバリゼーションの末、その利益は、ほんの一握りの上流階級だけしか手にできなかった。それに対する人々の不満の表れだ。

ほとんどの労働者階級、あるいは中間層は全く、その利益を享受できていなかった。格差は一層広まり、突然、トランプの選出という形で、不満が表現された。これは、アメリカだけではなく、世界中の先進民主主義国に共通する課題だ。ヨーロッパでは、多くのポピュリズム政党が台頭しつつある。今こそ、民主主義と資本主義を根本から問い直す時期だ。

民主主義について言えば。政府を代表する伝統的な組織や機関は、お金や企業の利害によって左右されている。普通の市民の声が反映されていないと人々は感じている。それこそ、民主主義に対する不満の声だ。
資本主義について言えば過去数十年にわたるグローバリセーションと技術革新の結果、生み出されたモノは格差だけだった。

この問題と向き合わねばならない。政治の世界において、もっと普通の市民に、意味ある発言をしてもらう方法を見つけなければならない。経済の世界では、グローバリゼーションと技術革新がもたらす利益を広く共有できる術を見出す必要がある。トランプ政権の誕生は、ある種の社会革命とも言える。

アルコール、除菌、マスクの仲間の勉強塾より