『幸せのタネをまくと、幸せの花が咲く』

岡本一志

お釈迦さまは、「まいたタネは必ず生えるのだよ。だから、無駄になる苦労は一つもないのだよ。人によって早く咲くか、遅く咲くかの違いがあるだけだよ」と教えられています。
世の中で成功したと言われる人でも、遅咲きの苦労人はたくさんいます。

「潜伏期間30年」として知られる漫談家の綾小路きみまろさんは、18歳の頃に鹿児島から上京し、28歳で漫談家としてデビューしました。
しかし、バーやキャバレーの司会者を務める長い下積み生活が続きます。
デビューからブレイクするまでの間、一人でも多くの人に自分の話を聞いてもらいたいと、奥さんと一緒に自分の漫談をカセットテープに吹き込んで、
高速道路のサービスエリアで中高年層にひたすら配りまくったそうです。その数は数千本ともいわれます。
サービスエリアの係員から「勝手に商売しないでください」と注意を受けると、「商売ではありません。タダで配っているんです」と言って配り続けたそうです。必ず芽が出て花が咲くことを信じてのタネまきでした。
そのうち、無料で配られたテープをバスガイドさんが観光バスの中で流すと大爆笑になり、それが50歳過ぎでの大ブレイクにつながったのです。
潜伏期間30年のタネまきが花開いて、「中高年のアイドル」と言われるほどの人気を誇っています。

春になると、満開の花を咲かせる桜も、冬は枯れ木のように花一つ、つけていません。春の陽気という「縁」がまだ来ていないからです。ところが枯れ木のようだった木も、温かい日差しに触れると一斉に花を咲かせます。
世の中には遅咲きであっても、見事な花を咲かせる人がたくさんいます。遅咲き早咲きの違いはあっても、まいたタネは必ず生えるからです。

一生懸命、頑張ってきたことは、その人に必ずタネとなって蓄えられています。
頑張っているのに、なかなか結果が出ない時は、まだ発芽させる春の日差しがやってきていないのです。焦らず、慌てず、花を咲かせる暖かい日が差すのを待てばいいのです。

アルコール、除菌、マスクの仲間の勉強塾より