『「いい質問」が人を動かす』

谷原誠

人を動かすには、命令をしてはいけません。質問をすることです。人をその気にさせるには質問をすることです。

太古の昔、人は「どうやって水のある場所に行くか」という質問をしていました。そして、水のある場所への移動方法を工夫しました。
ところが、ある日から、質問が変わりました。「どうやって水をここまで運んでこようか?」
この質問により、灌漑技術が生み出され、農耕が始まったと言われます

いきなり「何画素のテレビをお探しですか?」などと聞いたら普通のお客様はびっくりするでしょう。普通の人は、何画素かどうかでテレビを選んだりしないからです。それよりも、ここでの質問は、お客様のニーズを引き出すのが目的です。
たとえば、「本日は、ご家庭でのテレビをお探しですか?」などのように、答えるのがいとも簡単な質問から入り、どのくらいの画面の大きさが必要か、画面は見られればよいのか、あるいは美しさを重視するのか、など、ニーズを引き出してゆくのです

「誰に質問をすると、もっとも望ましい情報が得られるか」を考えた上で質問をする相手を選ばなければなりません
賞賛の法則を使用するには、「良いことを前提として、それに関する誤導質問をする」という方法があります。
たとえば、女性のバッグをほめるなら、「そのバッグ、すごくセンスが良いけど、どこで買ったの?」
協同の法則を利用して質問するには、自分たちが仲間になり、誰かを対立する人に仕立て上げる構図を作ればよいことになります。
たとえば、あなたが車のセールスマンだったとすると、最後の値段交渉の際、次のように質問することができます。「ようやくここまで来ましたね。上司にもう少し値引きしてもらえるように私が交渉してきます。仮にあと10万円値引きを勝ち取れたら、ご購入いただけますか?」この質問により、お客様は、あなたが自分のために上司と交渉してくれる仲間だという気持ちになり、あなたに好意を抱くでしょう
相手が好きなこと、関心があること、自信があること、心地よいことを話題にするのです。そうすれば、必ず相手の好意を獲得し、あなたが望む情報を得ることができるでしょう

相手に決断を迫っていくときは、選択肢を限定し、その選択肢の中から選ばせるようにします。2つか3つが適当です。
4つ以上になると選ぶのが負担になります

議論を有利に展開しようと思ったら、答える側ではなく、質問する側にまわらなければなりません
人生で成功するためには自己コントロールが不可欠ですが、自己コントロールをするための一番の近道が自分に良い質問をすることです

アルコール、除菌、マスクの仲間の勉強塾より