「運は引き寄せるもの。頼るものではない」

○運の強い人間は運に頼らない

「運がないな」と思う人が確かにいます。能力も意欲もあり、また努力もしているのに、仕事でもプライベートでも肝心な時に上手くいかない人です。その一方で、たった一度のチャンスをものにする「運」の強い人もいます。ある社長さんの会社にも、そんな運の強い社員が入ってくることがあります。学校を出たばかりで仕事のイロハもよく理解できてないのに、営業マンとして外回りを始めると、いきなり大きな契約を取ってくるのです。しかし「なぜ成約できたか」、その理由を尋ねても、本人も「運が良かった」という以外の答えが見つからない。たとえ「運」でも大きな取引を成約したのですから、その社員は人事考課で高く評価されます。

しかし、この社長さんは仕事ぶりを褒めた上で、社員をこう戒めるそうです。「運は引き寄せるものだが頼るものではない。運で取れた契約は“ないもの”として次の仕事を頑張れ」できる社員というのは、運に頼るつもりなどなくてもチャンスの方から勝手に寄ってくるものだと、この社長さんは言います。そんな社員は、仕事の上でも、運を引き寄せるのだそうです。その意味では、たとえビギナーズラックでも大きな契約を取った新入社員は「運を引き寄せることのできる人材」と言えるでしょう。

ただ彼らは、時として「自分は運がいい」→「運がいい社員=できる社員」だと勘違いしがちです。上司や同僚にチヤホヤされるため慢心してしまい、やがて手抜き仕事をするようになると言います。これでは「運を引き寄せる」どころか、運の方から逃げてしまうでしょう。

この社長さんは、たまたま成果を出した若い社員には褒めるだけでなく、「運頼みの営業は今回きりだと思え」と、必ず釘を刺します。「運のいい社員」「運を逃がさず、つかめる社員」「運を引き寄せることのできる社員」は、会社にとって有用な社員です。ただ「運」は不確定な要素に基づくものですから、運を引き寄せる確実な手段などありません。

できる社員がチャンスを逃がさずに成果を上げられるのは、常日頃から市場や取引相手の調査・研究といった努力を怠らないからです。「運が強い」を続けている人材は存外、「運」に頼る気持ちを持っていません。よく「運も実力のうち」と言いますが、意欲と努力を忘れては、その「運」も逃げてしまうのです。そもそも「運頼み」でビジネスの成功などあり得ません。

アルコール、除菌、マスクの仲間の勉強塾より