「複雑なアジア」

アジアは、21世紀の起業の聖地だ。2030年までに、推定24億人に膨らむ中間層を擁し、
アジアは、北米やEUを凌ぐ巨大な消費市場に変貌しつつある。
販売は、旺盛に伸びているが、流通在庫は増え、収益は低下の一途だ。
企業側の生産が追い付かず、爆発的に増える商品流通を上手くさばけないからだ。デジタル技術と小売業が融合し、業態進化が劇的に進んでいる。

消費革命で、アジア域内のITの人材需要が急騰している。
シンガポールでは、百貨店の老舗が次々と看板を下ろしている。あらゆる商品の調達から販売までを、自ら手掛ける業態は、滅びつつある。
生き残りをかけて、経営者は知恵を絞る。ネットにテナント出店する業者の配送、経理、販促を請け負う。
舞台裏からネット上でサービスを提供する黒子の物流業が増えている。
買い物客の電子決済を基に、ビッグデータを握る金融会社へと姿を変えるのもいる。