「帝国の参謀」

A・クレピネヴィッチ、B・ワッツ

伝説的な戦略家、アンドリュー・マーシャルの業績マーシャルの最大の貢献は、国家間の軍事バランスを、あらゆる角度から分析する「ネットアセスメント(総合戦略評価)」を確立したことだ。冷戦期の米国政府は、ソ連の国力を過大評価していた。それに対して、マーシャルは、ソ連は過剰な軍事費の為に破産しつつあると確信していた。ソ連に一方的に軍事的負荷をかける方策を提言し、その崩壊を早め、冷戦を終わらせる結果につながった。

もう一つの功績は、ミサイルや情報技術の進歩が戦争の在り方を一変させる可能性を示唆したことである。マーシャルは、1991年の湾岸戦争における米軍の一方的な勝利を、革命的な変化の予兆とみなした。そして、米国がこの革命をリードすべきだと主張した。この提言に従い、クリントン政権やブッシュ政権では、米軍の変革が推進され、効果は後の戦争で実証された。

さらに、冷戦後の競争相手として早くから中国に着目し、対中戦略の検討でも影響力を発揮した。マーシャルは、中国が軍事面の革命的変化に素早く適応し、米国の軍事的優位を脅かす可能性に警鐘を鳴らした。そして、軍事面で台頭する中国がもたらす負の影響に対処するために、一貫した長期的戦略が必要であることを主張し続けた。マーシャルは2015年、93歳で現役を退いた。彼の薫陶を受けた多くの弟子が、政府の内外で重要な地位を占めている。

アルコール、除菌、マスクの仲間の勉強塾より