『これも修行のうち。』

草薙龍瞬

毎日が、今より楽しく、心軽く、快適にすごせたらいいな…きっと、多くの人がそう感じていることでしょう。ただ現実には、次から次にやってくる仕事や雑事、悩ましい人間関係やストレス、先の見えない将来や、ネットやスマホ、メディア情報との「お付き合い」など、「正直、疲れる」モノゴトで一杯です。
そんな毎日を、「まあ、これも修行のうち」と気楽に受け流せるようになれたら、どんなにラクになるでしょう。

最初に確認したいのは、「何ごとも考え方が大事である」ということです。
人はモノゴトに「つい反応してしまっている」のであって、「正しい考え方」に立って生きている訳ではありません。
たとえば、仕事や人間関係で「理不尽な」思いをすることがあります。「なんでこうなるのか?」と反応してしまい、疑問、葛藤、納得いかない思いが湧き起こる…
こういう体験は、誰でもしているはずです。

もしこのとき「自分の考え方」しか持っていなければ、あらゆることに自分流の“こだわり”で反応してしまいます。
たとえば自信が持てない人なら、「私が信頼されていないから?」と疑心暗鬼になったり、「能力が低いと思われている」とヘコんだり。怒りっぽい人なら、簡単に腹を立てて、誰かれかまわずグチをこぼしたり、ヘソを曲げたりします。また「認められたい」気持ちで一杯の人なら、「一生懸命やっています(泣)」と自己主張を始めて、周囲から「いや、そこは問題ではないのだが…」とひんしゅくを買うこともあります。

こうした自己流の“こだわり”は、さらに尾を引きます。心はざわつき続け、「そういえばあのときも…」と記憶を検索したり、「そんなことをいうなら、あの件(あの人)はどうなんだ?」と責任転嫁や反撃が始まったりと、「ムダな反応」が続きます。こうした反応が数珠つなぎになって、アタマはイライラ、モヤモヤ状態に突入していきます

こうした、よくある心情は、「ただ反応している状態」です。人はみな、日々、反応しまくりです。

でも、ブッダにならって、「この状況ならこう対応すればいい」という考え方の手順が最初にはっきりしていれば、自分の“こだわり”だけで反応することなく、正しい道筋でモノゴトをとらえられるようになります。
では具体的に、どんな「考え方」から始めるか。

最初は、これです…。「どんなときも、方法がある」(だからなんとかなる)何が起きてもそう考えられる(発想できる)ようになること。
それを最初の目標にすえましょう。
つらくなったら、「方法はある」。不安や迷いを感じたときも「方法はある」と、自分に言い聞かせるのです。

ひとは不本意な出来事に直面したとき、「やっぱりダメか」とか、「しょせん自分なんて」とネガティブに発想しがちです。
その発想に従って動くと、必ず苦い思いを味わいます。方法は意外とシンプルで「使う言葉を変えればいい」のです。
というのも、思考は言葉で作られるからです。

つい否定的な思いが出てきたら、「方法はある」と繰り返してください。つらくなったら「方法はある」。
憤慨したときも「方法はある」。不安や迷いを感じたときも「方法はある」まずは言葉で繰り返すこと。
そうして抒情に「考え方」を作りかえていくのです。

アルコール、除菌、マスクの仲間の経営塾より